肝臓
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急性肝不全をきたした成人型Still病の1剖検例
木村 輝昭山崎 隆弘奥田 道有水町 宗治安永 満沖田 極
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1996 年 37 巻 3 号 p. 176-181

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抄録

成人型Still病の経過中,急性肝不全をきたし,死亡した1剖検例を経験したので報告する.症傍は30歳,女性.昭和63年12月より手関節痛,高熱が出現したため,当院を受診した.精査により成人型Still病と診断され,プレドニゾロン15mgで外来で経過観察されていた.平成3年7月10日より全身倦怠感,黄疸が出現,7月17日に当科受診し,急性肝不全と診断された.受診直後より,血漿交換等の治療を行うも,入院5日後,肝不全で死亡した.剖検所見では肝萎縮は認めなかったが,肝組織像では,広範肝細胞壊死と門脈域への形質細胞を含む炎症細胞浸潤を認めた.
成人型Still病は,若年性関節リウマチの一亜型であるStill病の成人発症型で,原因不明の疾患である.本症に重篤な肝機能障害を合併する報告例は少ない.しかし,中には本症例のように重篤な肝不全をきたす場合もあり,貴重な症例と考えられたので報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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