1997 年 38 巻 1 号 p. 19-26
169名の患者より得られた合計217個の肝結節性病変 (肝細胞癌, 腺腫様過形成, 大再生結節および転移性癌結節) を対象に, マクロファージ (CD68陽性細胞) の局在について検討した. 結節内のマクロファージはいずれの病変においても非結節部に比して減少していた. 減少の度合いは結節の異型度および分化度に依存し, 中・低分化肝癌, 高分化肝癌, 早期肝癌, 腺腫様過形成の順に顕著であった. これは肝組織の腫瘍化に伴う類洞の毛細血管化の概念に合致する所見と考えられた. また結節内マクロファージ数は結節径とも関連し, 有意な負の相関を示した. 以上を合わせ考慮すれば, 含鉄物質による造影などの結節内マクロファージの減少を利用した画像診断法は結節の質的診断をも可能にするかもしれない.