肝臓
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Bacteroides感染により門脈閉塞をきたし, その後多彩な血行動態の変化が観察された1例
安田 俊一岡田 俊英竹田 康男馬渕 宏野々村 昭孝大村 健二松井 修中沼 安二
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キーワード: 門脈血栓症
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1997 年 38 巻 1 号 p. 34-39

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抄録

症例は18歳男性. 主訴は発熱. 感冒症状あり近医にて抗生剤等の投与を受けるも発熱は持続し, 嘔気嘔吐を伴うようになった. 18日後には血小板の低下を指摘され, H病院を受診, エコー検査等で門脈血栓を指摘され当科へ紹介された. 門脈血流再開を目的として開腹術を施行, 門脈は膿汁と器質化した血栓でおおわれ, 血流再開は得られなかった. 膿汁からはBacteroides属が検出された. 抗生剤等で集中管理しその1カ月後には側血行路は著明に発達した. そのとき, 動脈血流を反映するダイナミックCT像は肝辺縁部が強く造影されたのに対し, 門脈血流を反映するCT-APはその裏を返す様に肝門部から肝中心部が強く造影された. さらにその21カ月後にはダイナミックCTの造影域の縮小が観察された. Bacteroides感染により急性に門脈血栓を形成し, 経時的に血行動態の変化が観察できた1例を報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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