肝臓
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酢酸オクトレオチドを投与した低酸素血症を伴う肝硬変の1例
川村 のり子古田 雅彦油田 尚総中薮 雅弘岩佐 元雄江崎 淳佐藤 孝之出口 俊世
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1997 年 38 巻 1 号 p. 40-45

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抄録

症例は58歳の男性で大酒家. 肝硬変に肝細胞癌が合併したため, 加療目的に当科入院となった. 入院時, 大気吸入時においてPaO2 47.9torr, PaCO2 39.1torrと著明な低酸素血症が認められた. 胸部X線, CT, 呼吸機能検査には異常はなかったが, 99mTc凝集アルブミン肺血流シンチグラフィーによるシャント率は18.4%と高値を示し, Hepatopulmonary syndromeと診断した. 治療として酢酸オクトレオチド100μgを週2回, 1カ月間皮下注入した. 初回投与2時間後にPaO2は10torrの上昇を認め, 翌日まで持続した. しかし, 一週以後PaO2は上昇せず, シャント率も改善はなく, 酢酸オクトレオチド投与は長期的には無効と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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