肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝細胞癌を合併した肝炎ウイルスマーカー陰性でScheuer II期の原発性胆汁性肝硬変の1例
小椋 真佐子橋本 直明大野 悦竹田 康出張 玲子古家 正佐渡 敬秋元 公彦松浦 広三田 勲司河原 弘規鈴木 丈夫是永 建雄岸田 由起子山崎 一人薬丸 一洋長村 洋
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 38 巻 9 号 p. 547-552

詳細
抄録

69歳, 女性. 脳出血後の通院中, 偶然占拠性肝病変を指摘されて入院. 輸血歴あり. 黄疸, 掻痒感なし. ALP 560IU/l, γ-GTP 357IU/l, 抗ミトコンドリア抗体320倍, 非腫瘍部の肝生検で非化膿性破壊性胆管炎を認め, Scheuer II期の無症候性原発性胆汁性肝硬変 (PBC) と診断した. 占拠性病変は血管造影で濃染し, AFP 1, 350ng/ml, PIVKA II 0.4AU/mlより肝細胞癌 (HCC) と診断. ジノスタチンスチマラマー (SMANCS) の動注療法後, リピオドールの沈着を認めた. 血中のHBc抗体を含むHBVマーカー, HCV抗体, HCV-, HGV-RNAはいずれも陰性. 肝生検所見に加え, ICG 7.2%, 血小板数正常, 食道静脈瘤および血管造影上コルクスクリューサインを認めず, 肝硬変ではないと考えた. B型, C型肝炎ウイルスマーカー及びHGV-RNAが陰性で, 肝硬変のないPBCに合併したHCCは極めて稀と考え報告した.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top