肝臓
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抗ミトコンドリア抗体陰性原発性胆汁性肝硬変に合併し, 各種薬剤治療を試みたHepatopulmonary syndromeの1例
松田 充島崎 猛夫平松 活志代田 幸博鍛治 恭介北野 善郎池田 直樹河合 博志寺崎 修一下田 敦松下 栄紀卜部 健金子 周一小林 健一野々村 昭孝中沼 安二
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1997 年 38 巻 9 号 p. 553-558

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抄録

症例は64歳, 男性. 糖尿病, アルコール性肝障害で外来通院中に胆道系酵素の著明な上昇と肝予備能の低下, 労作時呼吸困難を認め入院した. 著明な低酸素血症を認め, 呼吸機能検査では拡散障害を認めた. 心臓および肺に器質的異常はなかったが, 肺血流シンチグラフィーにて脳, 腎実質の描出があり, Hepatopulmonary syndromeと診断した. 基礎肝病変に関しては腹腔鏡, 肝生検にて胆汁性肝硬変と診断した. 内視鏡的逆行性胆管造影, 大腸内視鏡にて原発性硬化性胆管炎や炎症性腸疾患の所見はなく, 抗ミトコンドリア抗体陰性原発性胆汁性肝硬変と考えた. 低酸素血症に対してポリミキシンB, 塩酸ミドドリン, PGF2α, 酢酸オクトレオチドの投与を行ったが有意の改善はなく, 在宅酸素療法となった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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