肝臓
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無症候性原発性胆汁性肝硬変の経過中にIgD型多発性骨髄腫を合併した1例
前川 伸哉宮坂 有香永山 和宣余 心漢佐久間 郁行酒井 義法田沢 潤一鈴木 恵子佐藤 千史
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1997 年 38 巻 9 号 p. 559-563

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抄録

症例は64歳女性. 1989年に検診で肝機能異常を指摘され当科受診. 肝生検等にてScheuer 2期の無症候性の原発性胆汁性肝硬変 (PBC) と診断され, UDCA 600mg/日の内服を続けていた. 1994年に進行性の貧血と腰痛が出現, 血中にmonoclonalなIgD-λ蛋白の著増と骨髄像にて異型形質細胞を25.2%に認め多発性骨髄腫の合併と診断した. VAMD療法とCMP療法により骨髄腫は軽快し約3年にわたり寛解が維持されている. 興味深いことにPBCもそれに伴って改善傾向を示しながら推移している. PBCと多発性骨髄腫の合併は稀ではあるが, 既報告例からは合併例に共通した一定の臨床傾向が認められる. IgD型骨髄腫の合併は本例が初めてであるが臨床像において同様の傾向を認め, 両疾患の関連性を示唆する興味深い症例と思われた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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