関西病虫害研究会報
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原著論文
奈良県のキク圃場周辺から採集されたケナガカブリダニに対する薬剤の影響
国本 佳範泉本 裕樹穂積 宏祐坂井 大輝谷敷 浩平矢野 栄二
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2012 年 54 巻 p. 13-16

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抄録

キク栽培でのハダニ防除への土着天敵ケナガカブリダニの利用をめざし,奈良県平群町の小ギク生産圃場周辺から採集し,インゲンマメで累代飼育しているケナガカブリダニの雌成虫と卵を用いて小ギク栽培で高頻度に使用される薬剤(殺虫剤・殺ダニ剤18,殺菌剤3,除草剤1)の影響を評価した。
雌成虫に対して,アセフェート水和剤,プロチオホス乳剤,フィプロニル水和剤,トルフェンピラド乳剤は補正死亡率が100%,スピノサド水和剤,ミルベメクチン乳剤,エマメクチン安息香酸塩乳剤,イミダクロプリド水和剤でも80%以上と影響が大きかった。一方,ピリダリル水和剤やグリホサートカリウム塩溶剤,ビフェナゼート水和剤,ルフェヌロン乳剤は補正死亡率が10%未満だった。
卵の孵化,発育に対しては,プロチオホス乳剤は極めて影響が大きく,トルフェンピラド乳剤,フィプロニル水和剤も補正死亡率は90%以上,スピノサド水和剤,アセフェート水和剤も85%程度と影響が大きかった。ピリダリル水和剤やルフェヌロン乳剤,グリホサートカリウム塩溶剤の影響は小さかった。ただ,雌成虫への影響は小さかった殺ダニ剤のビフェナゼート水和剤の卵の死亡率は51.1%になり,発育ステージにより影響が異なった。

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© 2012 関西病虫害研究会
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