ササゲ(ジュウロクササゲ)の花外蜜腺を訪問するアリと莢果を吸汁加害するカメムシの動態を調査し,ササゲのアリを介したカメムシに対する防御機能について評価した。ササゲの莢果長と訪問アリ数との間には相関は認められず,ササゲの花外蜜腺は莢果のステージにかかわらずアリを誘引した。訪問アリの種類はクロヤマアリとアミメアリの2種で,クロヤマアリが優占種であった。また,莢果に寄生するカメムシはチャバネアオカメムシ,クサギカメムシ,ホソヘリカメムシの3種であった。花外蜜腺に訪問するクロヤマアリと莢果に寄生するカメムシの日周活動を調べた結果,アリの訪問は日中に,カメムシの寄生は夜間に多くなり,訪問アリがいる場合のカメムシの寄生頻度はアリがいない場合の約1/3であった。アリを人為的に除去すると,日中でも夜間においてもカメムシの寄生数は無処理区に比べて多くなった。これらの結果から,ササゲは花外蜜腺を訪問するクロヤマアリを介して間接的にカメムシに対する防御機能を有しているものの,その効果はクロヤマアリの日周活動に依存し,夜間には低下することが示唆された。