関西病虫害研究会報
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原著論文
高機能抗菌めっき技術“KENI FINE®”によるPythiumおよびFusarium属菌の胞子発芽阻害と養液栽培用培地の防藻効果
草刈 眞一森川 信也中山 武典田中 敦子遠谷 秀明岡田 清嗣
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2013 年 55 巻 p. 43-49

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抄録

ケニファインは特殊ニッケルめっき技術で,めっき膜が空気中の水分を吸収し,抗菌作用を示す。ケニファイン処理したステンレス鋼上に,Pseudomonas aeruginosaSalmonella typhimuriumStaphylococcus aureusを接種すると,これらの細菌の生育は抑制された。Pythium aphanidermatumの遊走子およびFusarium oxysporumの小型分生子もケニファイン処理したステンレス鋼板上において発芽が抑制された。これらの結果からは,ケニファイ処理によって,処理材を抗細菌および抗糸状菌化できると考えられる。ケニファインの粉末も,また,遊走子や小型分生子の発芽を抑制した。ケニファイン粉末を含む水系エマルジョンをロックウールマットに塗装することで,その表面における藻の発生を抑制することができた。藻の抑制効果は,水系エマルジョンの濃度に依存し,低希釈倍数で抑制効果が高くなった。希釈倍数が低いとレタスに薬害を生じたが,50-100倍希釈では,レタスの生育に影響は少なく,藻の発生を抑制し,ケニファインの粉末についても,抗菌活性と防藻性を示した。

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© 2013 関西病虫害研究会
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