抄録
ナスで発生するミナミキイロアザミウマ(以下,ミナミキイロ),タバココナジラミおよびチャノホコリダニに対するスワルスキーカブリダニ(以下,スワルスキー)の放飼増強法の有効性について,2014年8~9月および2015年9~10月に露地栽培の条件下で評価した。2014年および2015年にスワルスキーをそれぞれ50頭/m2および25頭/m2の3回ずつ放飼した結果,スワルスキーのピーク時の個体数は2014年で最大約50頭/30葉,2015年で最大約30頭/30葉まで達した。両年において,放飼区でのミナミキイロおよびタバココナジラミ個体数は,スワルスキー放飼後に減少するか,あるいは常時低い水準で推移し,無放飼区に比べ有意に少なかった。また,チャノホコリダニの被害株率もスワルスキー放飼区では無放飼区に比べ有意に低かった。以上の2年間の放飼試験から,スワルスキーの放飼増強法は露地栽培のナスの主要害虫であるミナミキイロ,タバココナジラミおよびチャノホコリダニの3種の防除に有効であると考えられた。