抄録
有効積算温度を用いて静岡県の茶園に発生するチャトゲコナジラミ成虫の発生ピーク日の予測を行い,実測値への適合性を検証するとともに,年間発生世代数について考察した。2012年と2013年に菊川牧之原アメダス観測点の近隣7圃場における本種の各世代の成虫発生ピーク日と,アメダスの気温データを用いて予測した各世代のピーク日を比較した結果,実測日と予測日との平均誤差は第1世代で4.4日または4.7日,第2世代で4.3日または4.9日,第3世代で6.6日または4.0日であり,いずれも調査間隔である7日以内であった。標高が異なる4地点における気温を用いた計算や,標高を徐々に変化させて計算された年間の発生世代数から,標高 290 m の川根本町地域では年3世代,標高 45 m の御前崎地域では年4世代,標高 191 m の菊川牧之原地域では年3世代と4世代の境界域にあることが示唆された。菊川牧之原において,2012年の最終発生世代である第3世代のピーク日を起点として予測した2013年の越冬世代成虫のピーク日と実測日とは全く一致せず,前年第2世代の発生後半期を起点とした予測日と実測日がほぼ一致した。このことから,標高 100~200 m 付近に位置する牧之原地域の茶園では,年3世代発生型と年4世代発生型の個体群が混在することが示唆された。