関西病虫害研究会報
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原著論文
ミヤコカブリダニと気門封鎖剤プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル乳剤の併用の効果
山口 晃一森 光太郎
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2020 年 62 巻 p. 55-60

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抄録

ポリプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル乳剤(商品名:アカリタッチ®乳剤)(以下アカリタッチ)の複数回散布のミヤコカブリダニ(以下ミヤコ)への影響とその併用によるハダニ防除効果を室内試験と温室試験で調べた。室内試験でアカリタッチを1週間間隔で3回散布すると,ミヤコ雌成虫の密度はアカリタッチを散布しなかった区もしくは2週間間隔で散布した区よりも低密度で推移した。しかし,ミヤコの卵や幼若虫を含めたミヤコ個体群全体の密度は低下しなかったため,アカリタッチのミヤコ個体群への影響は小さいと考えられた。イチゴとナスの温室試験では,ミヤコとアカリタッチ毎週散布(1週間間隔で散布)併用方法はミヤコ単独使用やミヤコとアカリタッチを隔週で散布する併用方法よりもハダニ密度抑制効果が高かった。これらのことから,ミヤコ放飼とアカリタッチ毎週散布はハダニ防除に有用であることが示唆された。

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