関西病虫害研究会報
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原著論文
愛知県のウメ輪紋病発生地域における有翅アブラムシ類の発生消長と緊急防除対策の実施による虫体のウイルス保毒状況への影響
堀川 英則伊藤 涼太郎大橋 博子永井 裕史小出 哲哉坂 紀邦石川 博司鈴木 杏子大野 徹加藤 晋朗三宅 律幸
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2020 年 62 巻 p. 61-69

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抄録

ウメ輪紋病の病原体であるウメ輪紋ウイルス(以下,PPV)を媒介するアブラムシ類の防除適期の把握のため,2015年3月から2018年3月まで,ウメ輪紋病発生地域であり,緊急防除対策が行われている愛知県犬山市内のモモもしくはウメほ場計4か所で黄色粘着板により有翅アブラムシ類の誘殺頭数を経時的に調査した。

各ほ場の発生消長について,いずれのほ場も各調査年次において,誘殺頭数には時期的な変動があり,1~3月の低温期間は,一時的に誘殺頭数が上昇するもすぐに減少した。各ほ場総じて,各年5月から6月と9月から11月にかけて最も誘殺頭数が高まる傾向が認められ,7月から8月にかけては誘殺頭数が低下する期間があった。発生盛期は,一時的な誘殺頭数の上昇を含めると2015年で3~5回であったが,2016年では5回,2017年では4~5回確認された。

さらに,得られた3か年の誘殺頭数の推移から各ほ場の発生消長について,状態空間モデルを用いて状態推定値を推定した。観測値では年間最大で2~5回検出された発生盛期が,年間で2~4回と平滑化されたことに加え,ほ場ごとに異なっていた発生盛期がほぼ一致した。

また,2016年3月から2017年10月にかけて誘殺した一部の虫体からnested-RT-PCR法によるPPVの検出を試みた。4ほ場合計で1,002個体を検定した結果,陽性検体は確認されなかった。これにより,緊急防除による感染植物の処分等によって本調査箇所での陽性検体の密度が低下した可能性が示唆された。

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