関西病虫害研究会報
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原著論文
ホソハリカメムシ(カメムシ目:ヘリカメムシ科)の卵寄生蜂の種と寄生率の推移
伊佐川 慧井上 孝夫田口 雄大香川 秀人門田 亘史牧野 隆沙樋口 博也
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2022 年 64 巻 p. 1-6

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抄録

ホソハリカメムシは,イネが出穂すると水田に飛来侵入し,穂を加害することで斑点米を発生させる。本研究では,ホソハリカメムシの卵寄生蜂の種とその寄寄生率の推移について,2019年と2020年の2年間,滋賀県大津市のイネ科植物が繁茂している草地で調査を行った。ホソハリカメムシの卵寄生蜂は,ハチ目クロタマゴバチ科のヘリカメクロタマゴバチ,Gryon marina,ホソヘリクロタマゴバチおよびハチ目トビコバチ科のカメムシタマゴトビコバチの4種であった。2年間の調査では,これら卵寄生蜂の寄生率は低く推移した.ホソハリカメムシ卵に対して寄生率が高かったのはG. marinaであった。G. marinaについては寄主範囲の報告はなく,ホソハリカメムシの卵に寄生することを初めて明らかにした。ヘリカメクロタマゴバチ,ホソヘリクロタマゴバチおよびカメムシタマゴトビコバチは寄主範囲が広いことは報告されているが,ホソヘリクロタマゴバチとカメムシタマゴバチについては,ホソハリカメムシの卵を寄主とすることを明らかにした。

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