関西病虫害研究会報
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原著論文
大阪府南部におけるヨツモンカメノコハムシの生活史
春木 洋人上田 昇平平井 規央
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2022 年 64 巻 p. 18-22

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抄録

近畿地方に最近侵入したヨツモンカメノコハムシLaccoptera nepalensisの季節消長を調べるために,2021年5~12月に月1回大阪府南部で野外調査を行った。調査では,ノアサガオ5カ所とサツマイモ3カ所を対象とし,幼虫,蛹,成虫の個体数を記録した。その結果,ノアサガオでは,本種成虫は5~12月の全ての月で確認され,6月に密度が低下したものの,その後は横ばいもしくは緩やかに増加した。幼虫は6月以降すべての地点で確認され6,9,10月に密度がやや高かった。サツマイモでは,地点によって7~9月に最初の成虫が認められ,いずれの地点でも9月と10月に密度が高かった。幼虫は,8~11月に見られた。本種のこの地域の個体群について,さまざまな温度・日長条件で飼育実験を行った結果,いずれの発育ステージでも温度が高くなるほど発育期間が短く,20°Cにおける産卵から羽化までの期間は約54日,27°Cでは約31日であった。本種の産卵から羽化までの発育零点(t0)は10.8°C,有効積算温度(K)は500日度であった。得られた発育零点と有効積算温度から野外における年間世代数を推定したところ,大阪府南部では約3世代が可能と推定された。

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