関西病虫害研究会報
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原著論文
ラッカセイわい化ウイルスの感染が黒大豆子実品質に及ぼす影響
木村 重光
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2022 年 64 巻 p. 23-27

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抄録

数種のウイルスでは大豆への感染によって,子実に褐斑を生じさせることが報告されている。また,低温などの環境要因による種皮着色突然変異に起因する着色粒の発生も報告されている。着色粒は種皮に複数の亀裂を伴うことがある。Senda et al.(2017)は,リグニン沈着が着色種皮組織の物性を変化させることで,褐色粒には裂皮を生じると示唆している。

PSVの感染により既報のとおり黒大豆に斑紋粒が生じることが確認された。フロログルシノール染色による組織化学的解析により,斑紋部の種皮下にはリグニンの沈着が確認された。斑紋部の種皮からはPSVが検出され,大豆(品種:エンレイ)への接種によって,未熟種皮斑紋部には感染性のあるPSVの存在も確認された。本試験の結果から,PSV感染が黒大豆種皮上の赤褐色斑紋や種皮表面の裂皮に関係していることが示唆された。

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