2022 年 64 巻 p. 89-97
卵菌類のPeronospora belbahriによって引き起こされるメボウキ(バジル)べと病(BDM)に対する粒状PA肥料の抑制効果を評価した。ポット栽培バジルに,株当たり4 g又は8 g施用した噴霧接種試験では,いずれの区も発病を100%抑制した。また,同じ施用条件で罹病株接種すると,発病葉率が概ね100%の甚発生条件下で,4 g区で60%,8 g区で100%,有意に抑制した。一方,株当たり2~16 gの粒状PA肥料を移植後1ヵ月おきに3回施用した2019年の圃場試験では,処理区の発病葉率は無処理区に比べて各区概ね50%となり,発病を抑制した。しかし,株当たり4 g又は8 gを1回施用した2020年の試験では,4 g区は55%抑制したのに対して,8 g区は無処理区とほぼ同等であり,1回のみの施用では抑制効果が不安定であった。以上の結果から生育初期に充分なPAをバジルに吸収させると高い抑制効果が得られることが明らかになった。今後,BDM総合防除に向けて,バジル葉中PA濃度の閾値と効果との関係の解明と,それを保つための施用資材・方法の検討が必要である。