関西病虫害研究会報
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原著論文
滋賀県の水田地帯における箱型トラップと新規誘引餌の併用によるスクミリンゴガイ防除効果
北野 大輔近藤 篤小久保 信義増田 倫士郎
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2023 年 65 巻 p. 22-27

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抄録

移植直後のイネ苗を食害するスクミリンゴガイの防除法の一つとして,トラップを用いた捕獲が実施されている。本研究では,滋賀県内の本種の発生地において,イネ苗を食害する殻高2.1 cm以上の個体に対する箱型トラップとMix餌(誘引餌)の組み合わせによる防除効果を検証した。水田内の試験区で捕獲率(捕獲された個体数/全個体数)とイネ苗の食害率(食害された株数/全株数)を調査したところ,捕獲率は31.8%であり,イネ苗の食害率は高密度区(20個体/m2)でも50%以下であった。水路内で捕獲率の時期的変動を調査した結果,時期によって捕獲率が異なり,水温が最も高い8月よりも,9月の捕獲率が最も高かった。以上の結果は,箱型トラップとMix餌を使用した防除の導入や,効率的な防除体系の構築の判断材料になると考えられた。

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© 2023 関西病虫害研究会
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