2024 年 66 巻 p. 27-36
タバココナジラミによって媒介されるウイルスの感染で引き起こされるトマト黄化葉巻病やトマト黄化病の発生地域である熊本県の冬春トマトにおいて,捕食性天敵であるタバコカスミカメによる春期のタバココナジラミ密度に対する抑制効果を2020~2021年の作期に検証した。隣接する2つの生産者施設をそれぞれ天敵導入区・対照区とし,天敵導入区では連棟間の天井谷間の天窓で0.4 mm,側窓で0.3 mmの目合いの防虫ネットを展張し,対照区では天窓で1.0 mm,側窓で0.4 mmとした。野外のタバココナジラミの発生量が多い定植初期(9,10月)は,天敵導入区・対照区ともに非選択性殺虫剤とコナジラミ類成虫忌避剤を中心とした慣行防除を行い,10月下旬から天敵導入区にタバコカスミカメおよびバンカー植物を導入した。バンカー植物としてクレオメとバーベナを用いた。その結果,天敵導入区では対照区と比較して5月以降のタバココナジラミ密度の上昇ペースが抑えられ,間接的にTYLCVおよびToCVの感染株率も対照区と同等もしくはそれ以下に抑えられた。これらの結果から,トマト黄化葉巻病およびトマト黄化病の発生地域において,0.3~0.4 mm目合い防虫ネットの組み合わせたタバコカスミカメ利用は,タバココナジラミの防除に有効であることが示された。