2025 年 67 巻 p. 73-80
大阪府で2003年から2024年にナスすすかび病菌株を採取し,DMI剤,QoI剤およびSDHI剤の感受性を調査した。その結果,アゾキシストロビン(QoI剤)とペンチオピラド(SDHI剤)では複数年にわたって感受性低下菌はあまり見られなかった一方で,トリフルミゾール(DMI剤)では感受性低下菌の割合が高かった。また,2024年の調査では感受性低下菌率がトリフルミゾールとアゾキシストロビンで100%,ペンチオピラドで96.7%となっていた。各系統の他剤では感受性低下菌率が100%の薬剤があった一方で,DMI剤ではジフェノコナゾール(0%),QoI剤ではピリベンカルブ(0%),SDHI剤ではピラジフルミド(8.2%)とボスカリド(13%)で感受性低下はあまり見られなかった。また,薬剤散布の履歴から,感受性が低下した薬剤が複数の圃場で散布されていることが明らかとなった。今後,ナスすすかび病菌の薬剤耐性発生リスクを低減するためには,耐性リスクが低いと考えられる多作用点接触活性のある5グループの薬剤を予防的に活用しつつ,発生が認められたら感受性低下の見られていない薬剤をローテーションに組み入れていくことが重要である。