2025 年 67 巻 p. 63-72
施設栽培のキクに対するアザミウマ類の防除利用の可能性を検討するため,2021年秋作と2022年夏作にかけて,ハウス内の夜間電照と合わせて赤色LED光の日中電照を実施した。
その結果,日中電照しない処理区と比較して,キク植物体上で日中電照した処理区は,アザミウマ類の寄生密度をやや低下させるるとともに,被害葉数を低減した。また,併せて実施したサイド際での日中電照した処理区については,アザミウマ類の寄生密度を低下させるとともに,被害葉数をやや低減させる効果が認められた。黄色粘着板による施設内外でのアザミウマ類の成虫の誘殺調査から,両処理区とも,日中電照が施設外からの施設内への侵入抑制効果があったものと推測された。
一方,キク植物体上で日中電照した処理区は,キク品種“岩の白扇”の開花を大幅に遅延させることが明らかとなったため,使用場面に関して注意が必要であり,今後の試験により検討を行っていく。