2026 年 68 巻 p. 63-70
非休眠性の農業害虫アザミウマ外来種数種について,低温順化した雌成虫の−5°CにおけるLT50,低温順化した幼虫の−5°Cにおける曝露期間と生存率の関係の差異,ならびに京都市の半野外条件における越冬経過を調査した。雌成虫のLT50はネギアザミウマで最も長く,次いでミカンキイロアザミウマとクリバネアザミウマ,そしてミナミキイロアザミウマとモトジロアザミウマの順であった。また,幼虫を−5°Cで同期間にわたり飼育した場合の生存率は,モトジロアザミウマとミナミキイロアザミウマの方が,ミカンキイロアザミウマとネギアザミウマよりも低い傾向があった。これらは,九州以北における各種の現在の越冬状況と概ね整合し,雌成虫の−5°CにおけるLT50値は非休眠性のアザミウマ科侵入害虫の日本国内における露地越冬可否の事前アセスメントにおいて有益な情報となることを示唆した。京都市の2020年秋季から2021年春季までの屋根付き網室内飼育において,モトジロアザミウマとクリバネアザミウマは12月まで産卵したが,12月と2月にそれぞれ死滅した。一方,ミナミキイロアザミウマとミカンキイロアザミウマは3月まで生存したが,1月以降の産卵数はわずかであった。