関西病虫害研究会報
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稲紋枯病の第1次発病の実態について
片野 恒雄
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1958 年 1 巻 p. 32-36

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抄録

1) 本試験は栽培時期別に紋枯病の第1次発病の実態を解明するために, 熟期の異なる品種を早期, 早植及び普通の各期に栽培して第1次発病株を調査した結果である.
2) 第1次発病の初発生は早期栽培では田植後30日目の5月末, 早植栽培では20日後の6月中旬, 普通栽培では15日後の7月中旬であつた.
3) 初発生後から第1次発病の急増するまでの期間も, 栽培時期が早いほど長く, 発病最盛期は早期栽培では6月末~7月中旬(田植後50~70日), 早植栽培では7月上旬~7月下旬(40~60日後), 普通栽培では7月下旬~8月上旬(25~40日後) である.
4) 第1次侵入は相当長期にわたり, 早期栽培で田植後80日目, 早期栽培では75日後, 普通栽培では55日後でも発病が見られた.
5) 第1次侵入と品種の間に差はなく, 各栽培時期毎の発病株も大差はない.
6) 株内水温は気温の変化とほぼ一致するが栽培時期が早いと,同一時期でも1.0~1.5℃低かつた.
7) 水面上10Cmにおける株内湿度は外界の湿度に左右されるが, 水温とは逆に同一時期では栽培時期が早いほど2~3%高かつた.
8) 第1次発病の年間差は早期栽培, 早植栽培の初発生及びその後の消長にも変化が考へられるが,発病最盛期及び普通栽培の発病消長には変異が少ないものと推論される.

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