関西病虫害研究会報
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イネごま葉枯病菌分生胞子の発芽に関する2, 3の実験
赤井 重恭福富 雅夫堀野 修大口 富三
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1968 年 10 巻 p. 16-20

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抄録

本論文はイネごま葉枯病菌分生胞子の発芽に関する実験記録であって, 供試菌は京大保存13号である.
本菌系の胞子発芽はきわめて早く, 実験開始直後に直ちに発芽を開始し, 10分後には約7%発芽する.
分生胞子の発芽過程に, 低温 (2~3℃) と高温 (28℃または45℃) とを交互に作用させた場合, とくに高温に45℃を選んだ場合には, 変温下において明らかに発芽が良好となった.
分生胞子の発芽に対する胞子形成培地の影響をみるため, Czapek寒天およびCzapek酵母煎汁寒天を用いて実験を行なったが,酵母煎汁を加えた場合には胞子の発芽は促進される. しかし, それらの胞子を水洗すると, 初期発芽が不良となって, 培地による影響は不明瞭となる.
窒素化合物の水溶液中で本菌胞子の発芽を行なったところ,5×10-3M以上の濃度では胞子の発芽は抑制されたが,10-3M液中では,(NH4)2SO4の初期発芽促進が著しく, Ca(NO3)2,KNO3はむしろ胞子発芽を抑制した. しかし, 100分後の発芽ではすべて90%以上に恢復した.
IIK溶液は, その100倍稀釈までは, 本菌分生胞子の発芽を抑制した. しかし, そのような胞子でも,水洗すれば, 発芽を恢復する. またEthylalcoholは1%以下の濃度であれば, 本菌分生胞子の発芽に影響しない.

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