関西病虫害研究会報
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クリ樹を加害するキクイムシの被害に関する2,3の考察
山下 優勝
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1968 年 10 巻 p. 28-34

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抄録

1. クリ樹を加害するキクイムシの一樹あたりの穿入種類と, その生息部位を樹令別に検討した.
2. キクイムシの種類は樹令が進むに従って増加し, 11年生木でXylosandrus属1種, Xyleborus属8種, Scolytoplatypus属1種の3属10種がみられた.
3. 穿孔数は樹令の進んだ樹に多く, キクイムシの種類では, ハンノキキクイムシ, サクセスキクイムシ, カヌスキクイムシは各樹に生息し, 若い樹ほど3種の密度が高い.
4. クリ樹におけるキクイムシの穿入部位は, 皮目から穿入する種類が多い. しかしハンノキキクイムシ, ミカドキクイムシは皮目よりも平滑面からの穿入率が高い.
5. クリ樹におけるキクイムシの生息部位を, 年令別枝, 樹の高さ, 樹の太さについて検討した結果, 樹全体に穿入する種類としてハンノキキクイムシ, サクセスキクイムシ, カヌスキクイムシ, X. laetus NIIJIMA, 樹の地際部だけ穿入する種類としてデフェンスキクイムシ, セイリョウリキクイムシ, トドマツオオキクイムシ, ツヤナシキクイムシ, 若い枝のみに穿入する種類としてミカドキクイムシがあげられる.

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