抄録
岐阜県下の穂枯れに関与する菌の種類を明らかにするとともに, それらの菌が標本の採集時期, 穂の部位あるいは品種のちがいによってどのような検出比を示すか比較検討したところ次の結果を得た.
1. 県下特に美濃平坦部に発生する穂枯れ症からはごま葉枯病菌, すじ葉枯病菌, いもち病菌, Cladosporium 菌,Alternaria 菌などが検出され, 特にごま葉枯病菌は全般に高率に検出された.
2. これらの菌のうち, ごま葉枯病菌は標本の採集時期に関係なく検出されたが, すじ葉枯病菌は生育末期に採集した標本からのみ検出され, 菌の種類により発病時期に差を生ずる傾向がうかがわれた.
3. ごま葉枯病菌あるいはすじ葉枯病菌は同一穂であっても部位により検出率に差を生ずることが認められ, つねに枝梗>籾の検出率を示した.
4. またこれら2種の歯はイネの品種によっても異なる検出率を示した