抄録
1) 三重県中部地方におけるチャバネアオカメムシ Plautia crossata stali SCOTT の年間の発生経過を明らかにするため野外調査, ならびに飼育実験を行い次の結果を得た.
2) 野外における主要な幼虫の寄主植物はヒノキ, スギであった.
3) ヒノキでは年2世代を経過した. 第1回成虫は羽化期: 7月中旬~8月上旬, 同産卵期: 8月中旬で, 第2回成虫の羽化期: 8月下旬~9月中旬であった. 第2回成虫はほとんどの個体が生殖活動を行うことなく翌春まで休眠状態にあった.
4) 第2回成虫のヒノキから越冬地への移動は9月下旬~10月中旬になされた. 同時期にミカン・サンゴジュへの成虫の飛来がみとめられ, ヒノキからこれらの植物への移動が示唆された. また, これらの植物は越冬前の成虫の摂食対象植物とみなされる.
5) 成虫の越冬場所はピサカキ等の常緑広葉樹の葉隙・落葉・木切れの下, 朽ち木の隙間などであった. ヒサカキの例では成虫の移動時期は9月下旬~11月中旬であった.
6) 屋外の実験装置における春期の離脱は主として4月中旬になされたが, これは野外のヒノキにおける成虫の出現時期と一致した.
7) 室内の飼育実験の結果から算出された発育零点は13.8℃, 世代を完了するのに必要な発育積算温量は550日度で, 野外における発育経過とほぼ一致した.