抄録
土壌中におけるアブラナ科野菜根こぶ病菌の休眠胞子の定量法について検討した. 比重の異なる各種溶液を用いた比重浮上法, ショ糖溶液を用いた二層遠沈浮遊法およびショ糖密度勾配法により土壌中から休眠胞子を抽出することは困難であった. BUCZACKI & OCKENDON の方法による土壌中からの休眠胞子の回収率は 84.0±13.0% であった. しかし菌量の多い場合には休眠胞子抽出過程で捨て去る分画中にもかなり多数の休眠胞子が存在していた. BUCZACKI & OCKENDON の方法において, 土壌懸濁液をガーゼで泝過し, 粗砂等を除去する段階とそれに続く遠心分離による休眠胞子抽出過程を篩別法に変えることにより 95.0±2.0% の高い回収率を示した. すなわちBUCZACKI & OCKENDON の方法に篩別法を併用する改良法は, 土壌中からの休眠胞子抽出に良好であった. 本改良法により自然汚染畑土壌中から根こぶ病菌の休眠胞子の抽出を試みた結果, 根こぶ病激発畑では乾土 1g 当り106 個以上の休眠胞子が検出され,石灰およびPCNB剤施用畑では乾土 1g 当り105 個と少なかった.