抄録
ワタアブラムシ個体群の殺虫剤抵抗性を虫体浸漬法で検定した結果, 果樹 (ミカン, ナシ) 寄生の個体群は, 野菜寄生の個体群と同様, 有機リン剤 (マラソン), カーバメート剤 (NAC) およびピレスロイド剤 (ペルメトリン) に対して抵抗性を発達させていることが明らかとなった。 果樹寄生の個体群はエステラーゼ活性の高い個体と低い個体から構成され, 高活性個体のみのメロンやキュウリ寄生個体群, 抵抗性活性個体のみのナス寄生個体群とクローン構成が大きく異なった。 ミカンおよびナシ寄生個体をキュウリとナスに接種すると, 長期間飼育することができなかったことから, 果樹を選好するバイオタイプ (果樹タイプ) の存在が示唆された。 オオイヌノフグリとホトケノザから採集した個体をミカンとナシに接種すると良好に発育・増殖したことから, これらの雑草で胎生越冬した個体が, 春先, 果樹に飛来するものと考えられた。