近年の住宅火災による0-4歳の死亡率は全年齢平均より低いが,損失生存可能年数と損失余命は他の年齢階級よりも大きかった。死因に占める火災の割合が最も大きいのは5-9歳であった。0-4歳の子供が死亡した住宅火災の出火原因は火遊びが5割以上を占め,火源の多くはライターであった。本人の火遊びから出火した住宅火災で死亡した子供の人数は3:1で男児が多く,3歳でピークを示し,子供の死者数の多さの半分程度は火遊びとその巻き添えによるものと理解することができた。10歳以下の子供が火遊びをして死亡した事例の約6割は,10歳以下の子供のみが在宅していた時に発生し,その割合は,昼間より夜間の火災で多かった。A市における17件の火遊びによる住宅火災事例(死者は無し)では,出火時に14歳以下の子供だけが在宅していた割合は65%であった。保護者が在宅しながら就寝中で子供の火遊びを制止できなかった事例が4件あった。母子健康手帳の中で,1-4歳児に起きやすい事故として例示される転落・転倒による死者数よりも住宅火災による死者数が近年は上回っていた。
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