2017 年 67 巻 1 号 p. 17-30
本研究では,局所火災に曝される柱を対象として,スプリンクラ(以下,SP)によって散布される水による冷却効果に関する定量的知見の収集を目的とし,火源および壁に囲まれた実大規模の柱の加熱実験を実施し,SP の作動の有無と火源の発熱速度をパラメータとして入射熱流束および温度の鉛直分布等を測定した。その結果,壁の温度および熱流計の指示値は,SP 作動直後に一旦低下し,しばらく概ね一定の値で推移する(遷移状態)ものの,その後再度低下した(定常状態)。また,鋼管柱および亜鉛めっき鋼板壁の熱収支からSP の作動による入射熱流束の低減について検討した。その結果,壁の遷移状態ではSP の作動により13~23 kW/m2低減し,鋼管柱や壁の定常状態では火炎からの入射熱が水によってほぼ全て吸収されるという推定結果が得られた。