2017 年 67 巻 2 号 p. 93-105
本研究では,超高層建築物の階段における避難行動特性について調査した。高さ508 m の台北101で6ケース,140 m の新台北市庁舎で1ケースの合計7ケースの避難訓練で,合計229人が参加した。階段内の避難経過をビデオカメラと観測者によって記録してデータを抽出した。台北101の6ケースでは平均速度が垂直移動で0.22~0.24 m/s,歩行速度0.61~0.65 m/s,一方,新台北市庁舎の1ケースでは垂直移動で0.31 m/s,歩行速度で0.98 m/s を得た。後者では,自衛消防隊に続いて避難したためと考えられる。本研究で得られた結果は,超高層建築物の避難モデルの改良に重要であり,また障害のない人々を対象とした他の研究成果と比較している。