2021 年 71 巻 2 号 p. 25-36
木質部材の火災時の燃焼性状を数値解析により分析するためには,木材の熱分解による質量減少速度を把握する必要がある。本研究では4種類の堅木と5種類の軟木の粉末の熱重量分析を実行し,その結果を単一過程と三成分モデルで分析した。熱重量分析結果では,約350~380°Cには分解速度の折れ曲がり点があり,これ以降の分解速度は緩やかになった。また,堅木類では約300°C付近において質量減少速度が一定となる平坦部が観測された。熱分解速度のモデル化では,単一過程モデルでは軟木類の折れ曲がり点以前の質量減少速度を再現できたが,堅木類の再現誤差が大きかった。三成分モデルは堅木類と軟木類両方の900°Cまでの質量減少速度を再現でき,特に折れ曲がり点以前の再現精度が高かった。