魚油に多く含まれる不飽和脂肪酸は化学的に不安定な性質のため、食べられる状態に至るまでには劣化が進行すると推察される。また調理操作の基本である加熱に注目した場合, 電子レンジはその機能性と簡便さゆえ使用頻度が高い。そこで、不飽和脂肪酸を多く含み大衆魚であるイワシを用いて、電子レンジ加熱による脂質の劣化について検討した。加熱条件毎にイワシ3尾をまるごと使用し、加熱·細断後、クロロホルム:メタノール混液で抽出した。定法により過酸化物価、カルボニル価、酸価を測定し、生イワシの測定値を基準に比較検討した。電子レンジ加熱は従来のガス加熱に比べ、POV、COVに増加傾向が見られたが、AVは大きな変動がないなどの結果が得られ、劣化の進行状況の差異が明らかであった。