本研究は, 子との別居化をふまえた奈良町北地区における住環境の再生に示唆する知見を得るために, 親子の居住形態からみた居住者の交流状態を明らかにするものである. 別居既婚子が徒歩15分までに居住している場合は, 日常的な交流が存在する. 親族については, 子のいない単身世帯において親族が町周辺や奈良市内に居住する割合, 交流頻度とも高い. 近隣との交流は, 親子別居では親しいつきあいの者が多く, 見守り的な近隣関係が存在している. しかし, 交流のきっかけをつかめない居住者も一定の割合で存在する. 友人が徒歩10分以内にいる者が多い. 高齢単身化を考慮し, 居住者が気軽に立ち寄れる空間を設けることにより, 地域での見守りや交流を促すと考える. 町ごとにある会所(自治会等の会合に使用されている)の有効利用が考えられる.