健康で自立した生活の継続が望まれる高齢者にとって、近隣との交流は、余暇時間の充実と安心できる居住環境の存続を図るための重要な要素である。本研究では高齢者人口の割合が高い大規模集合住宅を対象に、そこで展開される近隣交流の実態と問題点を整理、考察する。交流のタイプとしては「自発的団体活動」と「自然発生的個別交流」の2つに分類できる。自然発生的個別交流が発展して自発的団体活動へつながるケースが多い。交流の内容としては、一緒に何かをすることが主であるが、相互扶助という関係も発生している。後者は団体活動を通して成立する傾向が強い。近隣交流の問題点としては、男性の団体活動の参加率が低いことや、75歳以上での参加率が減少することなどがあげられる。