一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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ラットの脂質代謝に及ぼすサーファクチン添加納豆食の影響
*岡野 さやか谷 由美子垣沼 淳司
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p. 154

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抄録

【目的】サーファクチン(S)は、1968年に演者の一人によって枯草菌培養液中に見いだされた強力な界面活性物質で、SDラットに経口投与するとコレステロール(Chol)吸収が阻害され、血中および肝臓のChol濃度が低下する(垣沼:発酵ハンドブック193頁(2001))。一方納豆菌は、微量ながらSを産生することが知られている。本研究では、Sの脂質代謝に及ぼす影響を詳しく調べるとともに、栄養価が高く様々な生理作用を持つ納豆にSを添加することによって、納豆の持つ脂質代謝改善能をさらに高め得るか否かを検討した。【方法】8~9週齢のWistar系雄ラット16匹を4群(各群4匹)に分け、それぞれを以下の4種の食餌で2週間飼育した。対照群:Chol添加高脂肪食(ラ-ド、カゼイン各20%含有)、S群:対照食にSを0.3%添加した食餌、納豆群:対照食の53%を凍結乾燥納豆に置き換え、脂肪量を合わせるためにラードを7.5%に減らした食餌、納豆・S群:納豆食にSを0.3%添加した食餌。飼育終了後一夜絶食させ、解剖・採血して血清の総chol(T-chol)、HDL-chol、トリグリセリド(TG)、肝臓の総脂質(TL)、Chol、TG、肝臓の各種脂質代謝系酵素を測定した。また、解剖前3日間の糞を採取し、風乾後重量とChol含量を測定した。【結果】1.S群では、対照群と比べ糞中Chol排泄量が増加し、肝臓のTL、Chol、TGが著しく減少した。血中のT-chol、TGは僅かに減少したが有意ではなかった。2.納豆・S群では、納豆群に比べ糞中Chol排泄量は増加しなかったが、肝臓のTLとCholが減少した。3.肝臓TGは納豆の添加だけで大幅に減少し、Sの添加効果は認められなかった。  以上の結果、Sの脂質代謝改善能は確認されたが納豆との相乗効果は認められなかった。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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