一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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女子学生の体温の実態とその認識について
宮川 豊美
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p. 159

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抄録

目的 日常学生に接していて、体調不良や疲労感、その他不定愁訴などを日常的に訴える学生が多くなってきたことを感じる。この原因としては、栄養・身体活動・休養などの生活習慣に適切を欠く日常生活、痩せ願望、ダイエット志向、季節感覚と異なる衣服の着装、非健康的と思われる履物の使用など種々の因子が考えられる。さらに、近年低体温を自認する学生が観察されることから、健常時の体温の吟味に関心を持ち実測を行った。 方法 健康な女子学生(19~21才)423名の正確な方法による体温測定と、無記名・自記入方式のアンケート調査を行った。測定時期は1999~2002年の4~5月で、10:30~12及び14~16時に椅座位の安静状態で測定した。何れも食後1時間以上経過後の測定である。月経周期は特に考慮しなかった。水銀体温計と電子体温計を用い、腋窩温、口腔温並びに耳温を常法に従って測定した。また、家庭での体温測定方法や平熱などの調査も併せて行った。統計処理はt検定、一元配置分散分析、z検定を用いた。 結果 水銀体温計による平衡時間は、腋窩14.5±3.0分、口腔11.6±3.7分であり、その平衡温は、腋窩36.91±0.33℃、口腔37.07±0.28℃で、平衡時間は腋窩が3.0分多く要し、平衡温は口腔が0.16℃高かった。腋窩電子体温計での予測温と実測温(36.75±0.33℃)に有意差は認めなかったが、水銀体温計と比較すると低値(有意)であった。また耳内温は36.83±0.38℃であり、通説に反し水銀体温計(腋窩)とほぼ等しかった。 家庭での体温測定時間は、腋窩・口腔(水銀体温計)共に約5分であった。また、平熱と実測体温の差は0.85℃で、平熱に対する認識が大変低値であることを観察した。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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