一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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食事摂取量及び活動強度が骨密度と体脂肪率に及ぼす影響
*河野 節子
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p. 160

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抄録

痩身志向から若い女性のエネルギー摂取量が減少し、各種栄養素の不足が問題となっている。とりわけ骨密度の低下および隠れ肥満は懸念されている。そこで本研究では、女子学生の食事摂取量と生活活動の実態を調査し、食事摂取量及び活動強度が骨密度と体脂肪率にどのように影響を及ぼすかについて検討した。【方法】被検者は女子学生16人で、四季の各7日間の生活行動を詳しく記録するとともに、食事摂取量を秤量記録してエクセル栄養君で栄養計算した。また同時にライフコーダー(スズケン社製)を装着してエネルギー消費量を計測した。骨密度(Stiffness)は、超音波踵骨測定装置(LUNAR社製A-1000 PLUSII)で、体脂肪率は体組成計(タニタ社製)で測定した。統計処理はANOVAを用いた。【結果】Stiffnessと脂肪率について四季ごとに測定した各々を(n=64)データの分析に用いた。被検者全体のStiffnessは90.4±12.2、体脂肪率は27.4±5.4%であった。それらの被検者をStiffness85を基準として低骨密度群(77.4±3.7)と高骨密度群(97.7±9.8)の2群に分けた。同様に体脂肪率25%を基準として低体脂肪群(22.5±2.4%)と高体脂肪群(31.2±3.8%)の2群にわけた。高骨密度群では身長、運動量、エネルギー及び各種栄養素充足率が低骨密度群に比し有意に高かった。一方、高体脂肪群は体重、BMI、運動量が低体脂肪群に比し有意に高値であったが、エネルギーおよび栄養素充足率は低値であった。【結語】エネルギー摂取量が多い人ほど骨密度が高値であることから、エネルギーを必要量摂取することが各種栄養素充足や骨密度獲得に重要であり、一定の範囲であればエネルギー摂取量の増加が必ずしも体脂肪率増加をもたらすものでないことを強く示唆した。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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