一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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ラットの栄養素代謝に及ぼすワカメ成分の影響
*谷 政八新庄 絹代谷 洋子岸松 静代増田 勝己
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p. 163

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抄録

【目的】福井県には、「もみわかめ」と呼ばれる特産品がある。我々はワカメをラットに投与して血清、肝臓のコレステロール、中性脂肪上昇抑制、糞尿中のミネラル成分など排泄量に相違することを報告している。第51回の本学会では、高脂肪(ラード)・タンパク質食におけるワカメ粉末の栄養素代謝の影響について報告したが、今回植物性油脂を用いてラットの糞尿、血清を検討した。【方法】福井県越前海岸で収穫したワカメを真空加熱乾燥させ粉末試料とした。実験飼料組成は、コーンスターチ25%、ミルクカゼイン25%、植物性油脂(菜種油:大豆油=1:1)20%、ミネラル、ビタミンを基本とした。ワカメ粉末5%、10%、セルロース粉末5%および対照(理想食)としシュクロースで調整した。実験は5週齢のSD系雄ラットを4週間自由摂取法で飼育して最終飼育期間の排泄糞、尿および血清などを採取し各成分を分析した。【結果】飼料効率、各臓器重量などには実験群間に有意の差を認めた。盲腸内容物では、実験群間に重量、pHの差がなくワカメ群では乳酸量、プロピオン酸量に高値、フマール酸量、無機リン酸量に低値の差を認めた。1日の排泄乾燥糞重量は、ワカメ5%群が対照より少なかった。糞中の総窒素、総脂質、TCHLはワカメ10%群、ワカメ5%群がセルロース群より高値に有意であった。ミネラルは、ワカメ10%群のNa、K、Ca、P、Mgが高値に有意であった。尿中の総窒素、尿素窒素、Na、K、Pに実験群間に有意の差を認めた。血清中のGOT、アルブミン、TG、Naなどに実験群間に有意の差を認めた。ワカメ粉末は、セルロース粉末と異なる高脂肪・タンパク質食の栄養素の代謝に関与していることが示唆された。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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