一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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シスプラチン誘発腎障害ラットにおける小豆種皮投与効果
*堀 友花佐藤 伸山手 丈至斎藤 健長岡 泰良畑井 朝子
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p. 165

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抄録

【目的】プロアントシアニジン(PA)は、ブドウなどの種々の植物性食品に含まれ、その機能として抗酸化作用等が知られている。PAは小豆にも含まれているが、小豆PAの生体に対する影響に関してはほとんど知られていない。一方、抗癌剤であるシスプラチン(CDDP)は、副作用として腎障害を惹起することが報告され、活性酸素の関与が考えられている。そこで本研究では、CDDP誘発腎障害ラットに対してPA含有量の異なる赤小豆及び白小豆種皮を与え、小豆PAの腎障害に対する影響を検討した。【方法】F344/DuCrj雄性ラット(7週齢)にCDDP(3mg/kg)を腹腔内投与(週1回、5週間)し腎障害を誘発させた。小豆は平成12・13年北海道十勝産赤小豆(エリモショウズ)及び白小豆(シロショウズ)を使用し、種皮粉末を飼料に添加した。CDDP投与ラットは、1)通常食群、2)0.5%赤小豆種皮添加食群、3)2.0%赤小豆種皮添加食群、4)2.0%白小豆種皮添加食群に分け、CDDP投与1週間前から屠殺時まで種皮添加食を摂取させた。対照群ラットには同量の生理食塩水を投与し、通常食を与えた。休薬後4週に屠殺し、血漿及び腎を採取した。血漿については尿素窒素及びクレアチニンを測定した。腎についてはホルマリン固定後組織切片を作製し、アザン染色を施し、単位面積あたりの腎間質線維化率を求めた。また、ED1(マクロファージ)に対する免疫染色を施し、マクロファージの出現数を求めた。【結果】尿素窒素・クレアチニン値は、CDDPを投与し通常食を摂取させた群では対照群に比べて上昇したが、小豆種皮添加食群のこれらの検査値は、通常食群に比べて減少する傾向がみられた。組織学的に、CDDPを投与した群すべてに腎間質線維化が観察されたが、小豆種皮添加食群の線維化率およびED1陽性マクロファージ数は、通常食群に比べて有意に減少し、また赤小豆と白小豆の比較においては赤小豆種皮添加食群に減少傾向が見られた。以上の結果から、小豆の種皮、とりわけPAを多く含む赤小豆種皮は、CDDP誘発腎障害時のマクロファージ浸潤及び線維化の程度を減少させることが示された。小豆種皮は腎障害を軽減する効果がある可能性が示唆された。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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