一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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緑茶抽出物による腫瘍血管新生抑制効果
*湯浅(小島) 明子湯浅 勲
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p. 166

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抄録

【目的】腫瘍血管新生を抑制することはガンの進展・浸潤を防御することに有効である。血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor; VEGF)は血管内皮細胞に特異的に作用する増殖因子であり、これらの作用はVEGFのレセプターであるFlt-1およびKDR/Flk-1の存在に依存する。緑茶の主要構成成分である茶ポリフェノールは血管新生を抑制することが報告されているが、そのメカニズムはいまだ明らかにされていない。そこで本研究では、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)を用いて、緑茶抽出物による腫瘍血管新生抑制効果についてVEGFのリガンド-レセプター系におよぼす影響を検討した。【方法】緑茶抽出物(GTE)はエタノールに溶解した。 HUVECsは2% FBSと増殖因子を含むEGM-2培地を用いて培養した。GTE(0~25 mg/ml)を添加して24時間培養後、実験に供した。細胞生存率、細胞増殖能、管腔形成能、細胞遊走能を解析した。VEGFレセプターの発現はWestern blotting法と免疫組織化学的手法によって解析した。【結果】HUVECsの細胞生存率はGTEの有無にかかわらずほとんど変化しなかったが、細胞増殖能、管腔形成能および細胞遊走能はGTEの添加濃度に依存して顕著に低下した。さらに、HUVECs におけるVEGFレセプターの発現はGTEを添加することによって濃度依存的に低下した。【結論】緑茶抽出物はVEGFレセプターの発現を低下させることによって、腫瘍血管新生を抑制することが示唆された。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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