一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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介護福祉士養成教育における家政学教育に関する研究(第1報)
― 家政系科目の教科書の分析から―
*嶋崎 東子石川 周子奥田 都子熊本 裕子倉田 あゆ子中川 英子
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p. 251

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抄録

目的 介護福祉士養成カリキュラムにおいて、「家政学概論」と「家政学実習」が必修科目として位置付けられている。しかしその教育効果には、教育現場や実習施設などから疑問の声が聞かれる。では、それらの科目の教育内容は具体的にどのようなもので、どう変化してきたのだろうか。第1報では旧厚生省通知と、既存の教科書の分析から介護福祉士養成教育における家政学の教育内容の変遷について明らかにしたい。方法 入手可能な「家政学概論」(A,B,C,D,E,F社)、「栄養・調理」(A,D,E社)、「家政学実習」(A,C社)の教科書初版からすべてを対象とし、その学習項目から教科書ごとの特徴、時系列の変化などを明らかにし、その背景などについて考察する。また、昭和63年に出された通知と平成11年に出された通知の差異、通知と教科書の関係についても分析する。結果 (1)「家政学概論」、「栄養・調理」、「家政学実習」の3本立てから、「栄養・調理」が「家政学概論」に吸収されたことによって「家政学概論」、「家政学実習」の2本立てになったが、通知の授業内容にはほとんど変化はない。(2)教科書は、通知をほぼ遵守しているもの(A,B,C社)、ポイントに絞ったもの(D社)、個性的なもの(E,F社)の3タイプに分けられる。(3)家事援助についての項目が加えられるなど、実践的内容になってきている。(4)社会の変化に則した内容になってきている。例えばA社の1994年版と2000年版を比較すると、高齢期の経済、後見制度、バリアフリー等について詳しくなっており、消費者契約法、成年後見制度、バリアフリーに関する制度の充実などを反映している。(5)年度が新しいほど、介護のための家政学としての視点が明確になっている(F社、2002年)。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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