一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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成長期と妊娠期、または妊娠期と授乳期における食餌制限がラットの母子に及ぼす影響
*木村 安美美谷島 杏子水上 戴子
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キーワード: 妊娠, 制限, 授乳, ラット
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p. 68

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抄録

【目的】近年、若い女性の間では必要以上のやせ願望があり、ダイエットをする傾向が多くみられる。成長期、妊娠期、授乳期の食餌制限と、食餌中のたんぱく質の違いが、母体と子の発育にどのような影響を及ぼすかを把握するために、ラットを用いて検討を行った。【方法】実験1では、12週齢のWistar系ラットを、妊娠確認後4群に分けた。カゼイン自由摂取群(C群)、C群摂取量の30%制限群(CR群)、SPI自由摂取群(S群)、S群摂取量の30%制限群(SR群)とし、妊娠期、授乳期を通じて6週間飼育した。実験2では、成長期(9~12週齢)のみ制限(RC群)、成長期と妊娠期のみ制限(RR群)と自由摂取群(CC群)を比較した。食餌制限の方法はPair-feedingにより行った。【結果】実験1の食餌量の違いにより、授乳期終了後の母体の血漿中遊離アミノ酸濃度は、分枝アミノ酸が制限群で高い値を示した。体重、臓器重量において、新生子ではSR群がS群より、離乳子では制限群が自由摂取群より有意に低下した。摂取たんぱく質による違いでは、母体の肝臓中総DNA量が、SR群ではCR群より有意に低下した。離乳子の体重、臓器重量は、SPI群がカゼイン群より有意に低くなった。母乳の成分は、制限群がたんぱく質では高く、逆に水分では低い値を示した。実験2において、成長期の食餌制限の影響では、新生子の体重が低下し、離乳子の肝臓中たんぱく質、核酸量において制限群が自由摂取群より低値を示した。以上より、成長期の食餌制限は、新生子の体重、離乳子の肝臓中成分に影響を及ぼした。妊娠期では30%程度の食餌制限の影響は少ないが、授乳期の食餌制限では、母子ともに影響が大きくみられ、たんぱく質の差が顕著になった。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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