一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第56回大会
セッションID: 3-3-13
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住宅の揺れに対する居住性能に関する説明資料の提案
*野田 千津子石川 孝重
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抄録
【目的】 住宅に生じる揺れは、前面道路の交通や工事、人の動作や日常的に発生する強風などによって発生し、居住性能に影響をおよぼす要因の1つである。このような揺れの発生に対しては住宅の構造躯体の変更や制振装置の設置などによる対処が求められ、往々にして竣工後の改善が難しいことも多い。しかしながら、既往の調査結果から、居住者の住宅性能に対する重視度合や興味などをみると、耐震性能などの構造安全性に対する重視度合が高い一方、不快な振動に対する対処は重視度合が低いのが現状である。日常的な居住性能に関連する項目については、居住者の意識が高い場合は実感がともなうため、性能設計で求められる居住者自身による性能レベルの決定も比較的行いやすい。しかしながら、不快な振動のように居住者の知識や意識が薄い場合には、専門家からの積極的な情報開示と意識啓発、さらに居住者にとってわかりやすく実感しやすい性能説明が求められる。【方法】 本研究では、被験者実験の結果を通して、揺れを知覚する確率や心理的な判断要素を含んだ感覚の程度などと、設計上で制御する必要のある揺れの物理量との関連を明確にした。これらの結果に基づいて、居住者があるレベルの振動を受けたときにどのような状況になるのかを、より具体的に説明できる資料の作成を試みた。【結果】 揺れに対する知覚や感覚は、建物規模に影響を受ける振動数範囲によって特性が異なるため、揺れの大きさを一律に制限するのではなく、対象とする建物で区別する必要がある。そこで、居住者の感覚評価における確率に基づいて性能のグレードを設定し、それと設計指標である揺れの物理量と対応できる説明資料を、振動数ごとに提示した。
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© 2004 一般社団法人 日本家政学会
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