一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Aa-8
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水分が綿繊維の寸法変化と伸長特性に及ぼす影響
*山本 晋司山田 由佳子井上 真理
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キーワード: 綿繊維, 寸法, 伸長特性
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抄録

目的 繊維軸方向に分子配向した繊維の伸長特性は、ヤング率で代表される基本物性であり、被服材料としての実用性能に大きく関わっている。不感蒸泄や発汗等の水分は、着用時の被服材料に作用し、仕立て映えや着用感に関わるとともに、水に浸漬された繊維の特性は、洗濯時の材料特性の変化を捉えるための基礎資料となることから、吸湿性・吸水性に富む綿繊維を試料として水分による寸法および伸長特性の変化を捉えることを目的とした。 方法 慣行栽培された綿を試料として使用した。光学顕微鏡を用いて、20℃,65%RH条件下と24時間水中に浸漬後の同条件下における綿繊維の側面観察を行い、長径と短径を5ヵ所ずつ計測した。繊維の断面を楕円形と仮定し、長径と短径の計測値より断面積を計算した。初期長を10mmとしてエポキシ樹脂で単繊維の両端を紙上に固定し、伸長特性の測定に供した。KES-G1引張り試験機を用い、Normal(20℃,65%RH、空気中)・Wet(24時間以上水に浸漬, 空気中)・In-water(24時間以上水に浸漬, 水中)の3条件において測定された伸長特性より、ヤング率と破断強度を求めた。 結果 長径・短径・断面積はいずれも浸漬後の方が高い値を示したが、繊維の両端を固定した状態での測定であったため3_から_15%の増大を示す程度であった。In-Water条件時のヤング率はNormal条件(p<0.01)やWet条件(p<0.001)より有意に小さく、In-Water条件時の破断強度はNormal条件(p<0.05)やWet条件(p<0.01)より有意に小さいという結果が得られた。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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