一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Za-2
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γ-トコフェロール摂取によるα-トコフェロール濃度の低下
*阿部 稚里池田 彩子山下 かなへ市川 富夫
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抄録

【目的】私達は、日常摂取しているビタミンEの約半分を植物油から摂取している。サフラワー油、サンフラワー油、オリーブ油などに含まれるビタミンEは、生理活性が最も高いα-トコフェロールがほとんどであるが、コーン油、大豆油、ゴマ油などには、α-トコフェロールよりもγ-トコフェロールが多く含まれる。そこで、本研究では、ビタミンEとしてα-トコフェロールのみを摂取した場合と、α-およびγ-トコフェロールを同時に摂取した場合の体内のα-トコフェロール濃度を、ラットを用いて比較した。【方法】ビタミンE無添加飼料を4週間摂取させたラットに、α-またはγ-トコフェロールのみを各10mg、あるいはα-およびγ-トコフェロール各10mgの混合物をそれぞれ胃内に経口投与し、8または24時間後に屠殺した。血清および組織のα-およびγ-トコフェロールを、HPLC法で定量した。【結果】α-トコフェロールの摂取によって、8時間後には血清、肝臓、肺、副腎のα-トコフェロール濃度は著しく上昇したが、心臓、筋肉、脂肪組織、皮膚などでは、24時間後でもその上昇の程度は小さかった。α-トコフェロールのみを摂取した場合と、α-およびγ-トコフェロールを同時に摂取した場合で、血清および肝臓のα-トコフェロール濃度に変化は見られなかったが、肺、心臓、大動脈などのα-トコフェロール濃度は、γ-トコフェロールの同時摂取によって有意に低下した。以上の結果から、体内のα-トコフェロール濃度は、γ-トコフェロール摂取によって低下することが明らかになり、ビタミンE同族体の摂取量によっては、ビタミンE要求量が増加する可能性が示された。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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