一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 2Da-5
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最近の日本人の植物ステロール摂取実態について
*佐伯 孝子尾立 純子亀井 正治
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抄録

目的植物ステロール(PS)は食物由来のコレステロールの吸収を抑制することから、血管系障害の予防効果が期待してPS 強化油が市販されている。本研究では最近の日本人の食生活におけるPSの摂取の実態を実測把握し、併せてPS強化油を利用した場合のPS摂取量の変動について検討した。
方法国民栄養調査に基づくマーケットバスケット方式でサンプリングした2000_から_2002年の大阪採取試料より1日あたりのPS平均的摂取量を、またテイクアウト弁当およびファーストフード96食について1食あたりのPS含有量を実測分析し、さらにPS強化油3種類をもちいて2種類の揚げ物定食を調理した際、通常油利用の場合とのPS含量の比較を試みた。ステロール分析は試料をアルカリ分解した後、ヘキサン抽出し、溶媒留去後一定量のヘキサンに溶解し、GLC分析を行った。一般成分の分析は標準成分表分析マニュアルに従い、脂肪酸組成は抽出脂質を5%塩化水素-メタノールでメチル化後GLC分析を行った。
結果1)調査年度により違いはあるが3年間を通じて1日あたりのPS摂取量は200mgを超えなかった。2)テイクアウト食1食中のPS含有量は、7.9_から_125.5mgの範囲に分布し、平均40.8mg/食であった。これらの量はテイクアウト食中脂質量、リノール酸量と有意な相関を示した。3)PS強化油を用いて調理した定食では、1食あたりのPS量が通常油使用時より増加し、560_から_760mgとなった。以上の結果を欧米人のPSの有効摂取目安(800mg/日)と比較した場合、通常の食事ではPSの効果はほとんど期待できず、PS強化油食を組み込んだ場合、目安値付近のレベルとなるものと考えられる。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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