一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 2Ea-2
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養殖カキの食味に及ぼす季節および加熱の影響について
*笠松 千夏米田 千恵村上 知子香西 みどり畑江 敬子
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抄録

目的 カキは生食の他,牡蠣そば,カキフライ,土手鍋など様々な調理方法で食されている。近年,天然のカキが減少し,養殖カキの消費量が増加する中,養殖カキの一般成分の季節変動および加熱による物性変化を明らかにすることを目的とした。
方法 北海道厚岸産養殖マガキを殻付きのまま入手し,一般成分(水分・タンパク質・脂質・灰分・炭水化物),グリコーゲン量を測定した。加熱試料は,広島県産養殖マガキを剥き身で購入し,ポリプロピレン袋に脱気密封し,沸騰水中で2,10,30分間加熱後室温に冷却した。物性は,テクスチャーアナライザTA-XT plus(SMS製)にφ5mmシリンダー,カッターの刃,ニードルの3種のプランジャーを装着し,それぞれ圧縮強度,剪断力,貫通による破断強度を求め官能評価と対応させた。
結果 マガキ試料の一般成分の季節変化は,夏季の産卵直後に水分の割合が増加し,その後炭水化物量が徐々に増加した。呈味に関与する成分であるグリコーゲンは産卵期前後で最小となり,秋から初冬にかけて最大となった。加熱によりカキ表面の膜は凝固変性し硬化するのに対し,カキ体幹部は生が最も剪断力が強く,加熱2分でゲル化しやわらかくなった。加熱10分以降は収縮し脱水により硬くなった。最も身がふっくらしエキスの流出が少なかったのは,加熱2分以下(試料の中心が70℃まで)の状態であった。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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